で、先週の金曜にリニュ3話「どくさいスイッチ」が放送された。アニメドラにおいて30分で丸々1話分を放送するというのは、旧ドラの頃から見ても初めてのことだ。
話の内容は、基本的に原作に沿って進めているだけに、特に矛盾点が生じることもなく、安心して見ていられた。のび太が1人で遊園地で遊んだり、暗闇の中で風呂に入るというオリジナルシーンも、間延びした印象を与えることなく、今話のテーマである「孤独の怖さ、悲しさ」を端的に伝えていたと思う。
ジャイアンののび太に対する罰が「グラウンド20周」になってしまったのは、恐らくは見ている大人側への配慮なんだろう。関東ではその一時間前に放送している「ケロロ軍曹」で、ほぼ毎回ケロロがズタボロになっている事実を考えると、目くじら立てて規制しなければならないわけではないが、恐らくこれは「ドラえもん」というブランドの大きさ故なんだろうね。
ただ、そういう話の雰囲気作りには成功しているとしても、それ以外の面で現状のリニュードラの弱点が露呈してしまった箇所がある。
それはやはり声だ。
リニュ1話を見た時、「思い出せ!あの日の感動」を1話として放送したことに、僕はかなり違和感があった。
その理由は以前書いたとおりなんだけども、それ以外の懸念として、まだ「ドラ声優」としての力量、レベルが十分でない新声優陣が、果たして感動系のドラマを演じることができるのか、ということがあったのだ。
リニュードラの声優陣は、一部を除いてみんな声優経験がそれなりにある人たちである。しかし新人であれベテランであれ、「ドラえもんの声優」としての技量は、お世辞にも高いとは言えない状態だ。そんな中で所謂感動系の作品を演じることができるのか、一抹の不安があったのである。
で、蓋を開けてみたら、やはりその不安は的中していた。
独裁スイッチの効果を説明している時の「黒い」ドラ、孤独の寂しさをかみ締めて泣いているのび太を優しく諭す時のドラ。これら2シーンは本話におけるドラの描写として、とても大事なシーンである。
しかし残念ながら該当シーンにおいて、ドラの声は「黒く」なかったし、諭している時も諭しているようには聞こえなかった。
素人考えだが、「黒い」時は悪知恵を吹き込む悪ガキのイメージで演じた方がいいと思うし、諭す時は単なる友達の視点ではなく、1つ高みに立った大人の視点で話すべきだったのではないか。どんな時でも「通常時のドラえもん」のままで話しているので、その時々の状況における声のメリハリがついていないのだ。
ただこれは一朝一夕にどうこうできるものではない。演技力もさることながら、どうしても「ドラえもんの声の演技」という経験を数多く踏まなければならないことでもある。
ただはしゃぎまわるだけだったらこんなに目立つことはないが、ストーリー重視の展開になると、どうしてもギャグ話よりも演技力が必要になる。ましてドラならば通常の他作品よりも高度な演技力が要求されるのだ。
まだドラえもんの声優としての経験値が絶対的に不足している現段階で、この話を制作したのは、ちょっと厳しかったのではないかと思う。
もちろんだからと言って今話がまったくだめだったと言うわけではないよ。声優さんは演技自体はきちんとできていたし、アニメ作品の出来不出来というものは、声だけで決まるものではないからね。
そう言えば最近ほんの少しだけ話題になってたウラBUBKAの妙なドラ関連記事についても触れようかと思ったけど、面倒になったんでまた後日にしよう。
1つだけ言っとくと、あの記事で信頼できる内容のものはほとんどないから、あれだけ読んで「実はこうだったんだ〜」などと変な勘違いをしないように。