2008年03月08日

墓場鬼太郎9話「霧の中のジョニー」感想

 今回の「墓場鬼太郎」は「霧の中のジョニー」。少年マガジン版では「吸血鬼エリート」としてリニューアルし、1期と4期ではアニメ化もされた作品。
 「エリート」の方は、単独の敵が相手の話としては一番の長編話でもあり、結局鬼太郎が自力で勝つことは叶わなかったと言う点では、かなりの強敵でもある。
 そう言えば「吸血鬼チャランポラン」とかいう作品にリライトされたこともあったっけなあ…。

 それはともかく話のほう。
 話はビックリするくらいにほぼ原作のまま、さしたるアレンジが施されること無くアニメ化されており、ここに至ってスタッフも25分間の中への原作の詰め込み方を心得てきたという感じがする。
 冒頭ではOPアニメでお馴染みの「誰が政治しとるのか」も出てきたりしたが、その後の貸本屋でのやり取りはばっさりカットされ、直後の鬼太郎とのやり取りもだいぶ省略されている。
 話全体を見ても、原作からすれば色々カットされている部分はあるのだが、それを考慮しても話全体が無理なく動いているのは、「原作のどの部分をカットすれば、話をつなげられるか」をスタッフが理解してきたからだと思う。

 今話は後の「ゲゲゲ」に見られる、「悪い敵と戦う鬼太郎」の姿が、初めて明確に描かれた作品でもあり、そういう意味でも後々の「ゲゲゲ」に通じるターニングポイントとなった話と言える。
 さすがに今回の鬼太郎は「正義の味方」などという言葉こそ言わないものの、それでも最初に交わした約束を盾に、最後までジョニーに屈しないという強い一面を見せている。
 前話の「怪奇一番勝負」からは想像できない姿だけども、これもまた鬼太郎のもつ多面性の一部なのだろう。
 自らの領分を侵す人間には容赦はしないが、自らに明確に助けを求める人間を無碍に切り捨てたりしない。自己の価値観に忠実な鬼太郎らしい行動ではないか。

 ジョニーとの最終決戦は、少し省かれた部分はあったものの、これもまた基本的に原作どおりとなっていた。
 恐山の霊水に3年つかるという話も原作どおりではあったが、最後の最後、「パンツは履けよ」関連の部分だけ、原作とは微妙に異なっていた。
 原作も原作でもちろんいいのだけど、今回の目玉親父とねずみ男のやり取りは、大ベテランの声優2人が演じているだけあって、その何気ない会話だけで、互いの関係性まで垣間見ることが出来、味わい深いシーンとなっている。

 当初に比べるとだいぶこなれてきた感のある「墓場鬼太郎」も、残すところはあと2回。
 貸本時代の作品をこれ以上続けるのは無理だけども、今後も何らかの形で鬼太郎関連の作品がテレビでやってくれれば嬉しいですね。
posted by 銀河満月 at 18:45| Comment(0) | TrackBack(1) | 墓場鬼太郎感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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