本当はゴーオンジャーについても書きたかったりするのだけど、それはまた後にするとして、とりあえず墓場鬼太郎の感想をば。
今回は原作「顔の中の敵」を元にした話だったけど、初期の話に比べると、正味25分の中に原作の要素がすっきりした形でまとめられていたと思う。
これは3期と4期で「ゲゲゲ」版に触れてきた演出・芝田浩樹氏の功績かもね。
ガマ令嬢に一目ぼれしたねずみ男の描写なんかの、いかにもなマンガチック描写あたりに、氏の個性が垣間見える感じ。
今話で個人的に注目していたのは、前半でのニセ鬼太郎の死に様と、後半での人狼の死に様だったわけだけど、ニセ鬼太郎の方はほぼ原作どおりだったので、非常に良かった。
あっという間に溶けて死んでしまったにもかかわらず、それを目撃した鬼太郎は自分の命が危ういことばかり気にし、ねずみ男に至ってはニセ鬼太郎は「逃げた」と思い込むという、ニセ鬼太郎的には救いのない内容になっていた。
このあっさり感がきちんと再現されていただけでも良かったと思う。
人狼の方は、死体そのものは原作に近しい間抜けな姿だったけども、アニメでは列車から飛び降りて死んだ(と目された)人狼にお悔やみの言葉?を上げるねずみ男の描写が追加されており、それにより「人狼の死」という現実に対する物語世界そのもののドライっぷりが発揮されていた。
あと面白かったのは、幽霊列車内でのねずみ男と人狼のやり取りだろうか。
言うまでも無くこのあたりの描写は「ゲゲゲ」版での「ゆうれい電車」として引き継がれることになり、2期を除く歴代アニメ作品でも漏れることなくアニメ化されてきたメジャーな話ではあるが、歴代「ゲゲゲ」版のほうは怪奇・ホラーテイストの濃い内容になっていたのに対し(「ゆうれい電車」もそうなんだけど)、この「墓場」版では、2人のやりとり、と言うか掛け合いによって、どちらかと言えばコミカルな印象を受ける。
単なるホラー・怪奇作品とは一線を画す、水木センセイ作品独特の雰囲気を味わうのに、良いサンプルシーンになっているのではないかと、個人的には思う。
「鬼太郎誕生」から続いてきた長編は今回で終了。次回から単発エピソードが続くことになるが、この「墓場」も残すところあと4回なんですなあ。
なんとも早いものです。