2008年02月08日

墓場鬼太郎4話「寝子」感想

 早くも4話目となった「墓場鬼太郎」。
 深夜アニメとしては結構視聴率も良いようなので、まずはめでたいと言ったところだろうか。

 今回のメインはサブタイにもあるとおり寝子。物の怪の存在があっという間に忘れられてしまったのは寂しいが、たぶんあと数話経ったら出てくるんだろう。
 前回の吸血木もそうだったけど、このアニメ版では原作のように複数の事象を同時進行で描いていくのではなく、一つ一つのファクトにスポットを当てて見せていくようだ。
 だから今回はニセ鬼太郎が登場しているにもかかわらず、あくまで寝子が主眼に置かれた構成になっている。

 今話でいい味を出していたのはやはり寝子に恋焦がれる鬼太郎だろう。前話あたりから続く、やたら純文学めいた台詞回しも面白いし、寝子に対する思い入れの深さは原作以上に描かれていた。
 水木が寝子と挨拶しただけで嫉妬心をあらわにしたり、仲が深まると「寝子さん」ではなく「寝子ちゃん」と呼ぶようになったりと、このあたりのエピソードは原作以上に微笑ましいものになっている。
 1話の頃はかなり怪奇色を前面に押し出して作られていた今作だけども、本来「墓場鬼太郎」という作品は、怪奇で不気味な側面を持ちつつも、水木作品特有のどこかとぼけた雰囲気が根底に流れており、決して怖さ一辺倒ではない。
 そういう意味では今話くらいの見せ方のほうが、原作のアニメ化という点ではちょうどいいのかもしれないね。
 ただ、上にも書いたようにそれぞれの要素を完全に分けてしまったものだから、寝子関連のエピソードに不気味さを出すことが難しくなってしまったと言う、構成上の問題もあるのだろうけど。

 ただこの鬼太郎と寝子の仲の良い関係がのんびりと描かれていたおかげで、寝子の死というラストの展開に、原作以上に悲劇的な要素を加味することに成功していた。
 原作のように何かを話すこともなく、ショックのあまり立ち尽くす鬼太郎の姿は、原作よりも比重が増した悲劇性を象徴していたように思う。
 原作では途中からフェードアウトする関係上、存在感が薄くなる水木の存在を役立たせていたのも、うまい構成だったと思う。きちんとキャラを生かしている好例だ。

 その反面、ねずみ男とニセ鬼太郎があまり目立っていなかったのは残念だった。
 特に2人が出会った時のやりとりは原作でもかなり面白いシーンの1つであるだけに、ほとんど端折られてしまっていたのは寂しいものがある。
 寝子の前に姿を現したニセ鬼太郎は既にシャベルとバケツを持っていたが、「地獄の土」関連の話は次回の回想シーンででも描かれるのだろうか。
 ちなみにニセ鬼太郎の声は伊倉一恵。ある意味鬼太郎以上に邪悪なキャラを無難にこなしていた。

 次回は「ニセ鬼太郎」。ついに我らの目玉親父が胸のすくような活躍をする…はずである。
posted by 銀河満月 at 00:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 墓場鬼太郎感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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