2007年10月14日

今更「仕事人2007」を振り返る(暫定)

 もうすっかり時間が経ってしまったけども、7月に放送された「仕事人2007」の話。
 前に書いた時はだいぶきついことを書いてしまったのだけど、今の視点で読み直してみると、あまりにも過去作に拘りすぎた故の酷評になってしまっているので、「仕事人2007」という作品自体を客観的に評価しているないようにはなっていなかったので、かなり反省しなければなるまい。

 で、この仕事人2007なんだけども、一応視聴率は良かったようで、今の世においても「必殺」という作品が受け入れられる下地はあると言うことなのだろう。
 尤も「必殺シリーズ」と一括りにしてみても、前期作と後期作とでは明らかに作品の空気は異なるわけなので、十把一絡げに扱うわけにも行かないのだが。
 しかし現代では放送コードなどの問題で、前期作のテイストをそのまま盛り込むことは実質不可能となっている状態だから、後期作の空気を継承して新作を作ると言う方法論は、止むを得ない手段なのかもしれない。
 ただ必殺は煎じ詰めれば殺し屋たちの話になるわけで、そういう話を見せると言うことはどうしても人間とか社会の暗黒面を見せざるを得ないことになる。能天気に生きられる社会ならば、アウトローは存在しなくてすむのだから。
 だからそこらへんのきつい部分はやはりきちんと見せなければならないだろう。

 ここまで書いて思ったのだが、この仕事人2007、どうも「必殺始末人」と同じ匂いがする。
 始末人も1はどうしようもないくらいの凡作だったが、2、3は良作と呼べる内容に仕上がっていた。
 1ではどうしても話を追うばかりの内容になってしまうので、個々人のキャラクターを完全に形成し、見せることが出来なかったためだと思われるが、これは仕事人2007にも同じことが言えるんじゃなかろうか。
 始末人での只次郎も、1では少し浮世離れした浪人という程度にしか描かれなかったが、2では熱い一面を見せたし、逆に3では女に情けないという部分も見せてくれた。
 そういう多面的な部分を見せることが今後重要になってくるだろう。特にヒガシの演じたキャラはほとんど個性らしきものが描かれなかったので、もしシリーズ化するのであれば、ヒガシのキャラに対するフォローが急務だろう。

 まあこんなところでぐだぐだ言ったところで、シリーズ化しないのであれば意味はないのだけど(笑)。
 あとやっぱり画面はフィルムの方が断然いいと思うんだけど、こればっかりは時代の流れだろうからなあ。
posted by 銀河満月 at 18:20| Comment(2) | TrackBack(0) | 必殺シリーズ・時代劇 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
>銀河 満月様
≫あまりにも過去作に拘りすぎた故の酷評になってしまっている
私は前期作品の中で初めて拝見したのが『暗闇仕留人』で、各話を鑑賞する毎に後期作品批判論『はした金で人を殺す仕事人は正義面する偽善者だ』などと違っていて驚いた事があります。
金を貰う前から「子供を殺す様な奴は許せない」と言って行動開始していたり、標的の家族と知り合いで心臓潰しを躊躇ったり、拳銃一丁を仕留料にしたり(脅迫で標的から金を取っていましたが)、依頼人には正体がばれてるし…

仕留料に関しても『仕留料を捻出する為に盗み(1話)を働いた、身を売った(仕置人の1話等)などで無理矢理捻出した』というより『悪事の為にふいにされて使い道の無くなった金』が大半で、依頼人の代償といえば代償なのでしょうけど、あまり代償といったイメージが湧き難くて…

番組構成上の都合とはいえ、依頼人を仕事人の前で死なせ、たまになのかもしれませんが身を売らせて無理矢理金を作らせていた仕事人シリーズの方が残酷なのかもしれないと思いました。
そしてその要素が、後年の亜流作品で『依頼人の代償』を強調される遠因になった可能性を思うと…

そういった意味では、能天気な世界観にしないという条件で、前期作品にも現在の放送に合わせるにしても取り入れられる要素があると思います。

余談になりますが、『ハイパーホビー』11月号の144pに錠の手槍が掲載されております。
撮影で使用された本物だそうですが、鏨(スティック)の部分が違うような気が… 
Posted by 金田八 龍助 at 2007年10月18日 01:01
だいぶ返事が遅れてしまいました。

>各話を鑑賞する毎に後期作品批判論『はした金で人を殺す仕事人は正義面する偽善者だ』などと違っていて驚いた事があります。
確かにそうですね。
前期の主水作品は「新仕置」以外では、頼み料は大抵五両が相場でしたから、そのあたりは後期も変わってないですね。
後期では確かにそれよりも少ない金額で受けることが多かったですけど、それを持って後期を批判する理由にはならないと思っています。

>あまり代償といったイメージが湧き難くて…
仕留人の頃は主水もまだアマチュア意識?が強いようで、あまり金銭に執着してはいないんですよね(もちろんもらわないと言うわけではないですが)。
気の合う仲間と危ない仕事を楽しんでやっている、というスタンスと言ったらいいのでしょうか。
ただ「仕留人」最終回で、仲間の死という現実に直面してしまったことで、裏稼業という行為そのものを「楽しんで行う」ことが出来なくなり、そのために仕置屋以降では、裏稼業を仕事・ビジネスと割り切って扱うようになっていったんでしょうね。
仕留人1話では主水が最初から積極的に仲間集めをするのに際し、仕置屋1話ではギリギリの状況になるまで裏稼業に手を染めることを拒んでいたと言うところからも、裏稼業に対するスタンスが変わったことがわかると思います。

ただ前期作、というか主水登場作品は、仕掛人や仕事屋のような元締制度ではないため、厳格な掟の元に、確実に頼み料を受け取れると言う保証がないんですね。
そのため主水たちは、そういう不幸に見舞われた、または見舞われそうな人たちに対し、能動的に動くことで頼み料を受け取る、いわば営業活動的なこともしていたわけです。
だから強盗・殺人などの一般的な悪事から、ある家庭内のみで起きる、本来他人が介入すべきでない事柄にまで、被害者の多岐に渡る事情が描かれ、そこに仕置人たちが絡むことによる様々なドラマが生まれたわけですね。
後期では結局「被害者が目の前で殺される」という特定の悲劇が展開されないと、その後の物語が動かない筋運びになってしまっており、それが話そのものの展開を狭めてしまったのも事実だと思います。
前期必殺では頼み人の追い詰め方も、悪人の悪人っぷりもかなりどぎついものがありますし、虐げられた被害者が結局最終的には同じ「非合法の手段」に頼ってしまう、それ以外に頼るものがないまでに追い詰められる描写をきちんと見せていますから、必ずしも被害者が仕置人の目の前で死ななくとも、十分に話を広げられたのだと思います。

>余談になりますが、『ハイパーホビー』11月号の144pに錠の手槍が掲載されております。
ほとんどの小道具は火事で消失したそうですから、それは以前出た新仕置LD−BOXのブックレットにも掲載されていた、アップ用の金属製プロップなんでしょうか?
尤もそれ以前に、手槍を使用する歴代仕事師は3人いるわけですから、本当に錠の手槍なのかどうか…(笑)。
Posted by 銀河満月 at 2007年11月10日 03:44
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