2019年02月10日

ゲゲゲの鬼太郎(第6期)34話「帝王バックベアード」感想

 別作業を優先していたら鬼太郎の感想を書くのがすっかり遅れてしまった。5期の感想も結局中途半端に終わってしまったし(まあ全体の4分の3くらいは書いたんだけどね…)、早く最新話に追いつくようにしていかないと。

 今回の話はこれまで顔見せ程度だった出番のバックベアードがメイン。力と力をぶつける話ではなかったものの、鬼太郎とベアードの思想・信条的な対立を決定づけるという点では両者の初「対決」話と言ってもいいだろう。
 今期のベアードは原作やこれまでのアニメ版におけるベアードのような「球体の体で中央に目がついている」存在と違い、存在そのものが別空間に存在しており周囲の黒い部分は空間の裂け目で、別空間から目だけを突き出しているという存在に改変が成されているが、今話はその改変が生きた話でもあった。28話でも少し描写があったが本体が別空間に存在しているから自分自身が移動することなく、どこからでも常にこちら側の世界の至る所を見やることができるという設定が加えられたことで、アニエスやねこ娘たち仲間妖怪の居場所を容易に見つけ虜にするというやり口に説得力が付与されている。
 さらに言えば妖怪大戦争後のアニエスや鬼太郎たちの行動さえも筒抜けだったのかもしれない、指輪が見つかるまで泳がされていただけだったのかもしれないと考えると、バックベアードの帝王としての圧倒的な実力と恐ろしさが窺い知れるわけで、今話の時点ではそれほど出番のないベアードの存在感を見せつけるには十分な能力設定だろう。
 そのような具体的な力を見せつけるだけでなく、鬼太郎の仲間たちを攫ったりねずみ男たちを甘言で惑わせてアニエスを精神的に追い詰めていくという卑劣な手段を行使してくるところは、いかにも「悪の軍団のリーダー」らしい完璧な敵役としての立ち回りであった。ましてその直前に悩みながらも妖怪バスツアーに参加しようと手弁当を作るアニエスと、それを微笑ましく見守る砂かけ婆たち妖怪アパートの面々を描写したばかりである。鬼太郎や日本の妖怪たちとも打ち解けたい、仲良くなりたいというアニエスの純粋な気持ちを見せておいて、そのアニエスの優しさを巧みに突く作戦を用いてくるやり口は、バックベアードという妖怪の恐ろしさを印象付けるという意味でもこれ以上ないほどに効果的であったろう。

 それ故にクライマックス、操られた仲間たちと戦うことを強要される窮地に立たされながらもベアードに屈することなく仲間たち、そしてアニエスも全員救って見せると決然と言い放つ鬼太郎の姿は非常に凛々しくカッコいい、正しく正義の味方・ヒーローであった。そしてそれはいみじくもバスツアーに参加することをためらうアニエスがまなに受けた「アニエスはどうしたいの」という助言と同じく、自分の心が求めるものに素直に従った故の決意であり、この時ようやくアニエスと鬼太郎は「共にありたい」という1つの想いを共有することができたのだろう。
 その想いに絶望の中の光を見出したアニエスは鬼太郎と協力し合うことでベアードからの脱出に成功する。鬼太郎だけでなくカミーラに騙されていたとは言えアニエスを追い出そうとしていたねずみ男が、唯一の武器である最後っ屁と「屁子力」による爆発で鬼太郎をアシストした点も、鬼太郎単独ではなく鬼太郎「たち」がアニエスを救うという骨子の暗喩になっており、同時にねずみ男らしいフリーダムぶりをも体現している名シーンと言える。
 この瞬間、アニエスはいわゆる鬼太郎ファミリーの一員になったのかもしれない。

 しかし想いを共有したはずのアニエスは、いやだからこそなのか、さよならの言葉を残して鬼太郎の元を飛び立ってしまう。ベアードの残した「ブリガドーンのコア」という言葉の意味も含め、アニエスの胸中は次回で明らかになるのだろうか。


posted by 銀河満月 at 12:07| Comment(0) | ゲゲゲの鬼太郎(第6期)感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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