それはそれとして今回の話。今回はアデル配下の西洋妖怪3人の中で最後の1人である女吸血鬼カミーラが敵役となったが、こちらも前話のヴィクター・フランケンと同じく鬼太郎たちと本格的な戦いをするわけではなく、日本の少女を配下の吸血鬼に変えてしまうという自分自身の小さな目的、彼女曰く「お遊び」の一環で鬼太郎やねこ娘と戦っただけにとどまった。とは言ってもねこ娘は苦戦させられたし鬼太郎の指鉄砲を食らってもまったく動じていないところに、これまでの西洋妖怪と同様に強敵の匂いを感じさせていたが。
今話で本当に焦点が当てられていたのは西洋妖怪の直接的な脅威ではなく、妖怪大戦争を経て心の距離が離れてしまった鬼太郎とアニエスの方だったと見るべきだろう。メインで活躍していたのはカミーラによって映画館に閉じ込められてしまいながらも脱出のために奮戦するねこ娘とまなだったが(実際尺で見るとこっちの方が長かったような…)、危機に陥ったその2人を救うという共通の目的、しかもこれまでは言わばなし崩し、受動的にアニエスに協力せざるを得なかった鬼太郎が、初めて同じ目的のために能動的に協力したというのが、今話における最大の見せ場だったと言える。
前話でアニエスがまなと友達になることで、「友達を大切に出来る」「友達を危ない目に合わせたくないと思うことができる」人並みの優しさや人情といったものをアニエスもちゃんと持っていると鬼太郎や視聴者に提示したそのすぐ次の話で、本質的にはお互い変わらない優しさを持っている2人が改めて共通の目的と意思を以て協力しあう流れを描写しているのは、本来的には異分子であるアニエスと鬼太郎との歩み寄りの手順としては最適解であろう。
Aパートでアニエスの魔法解説をわかるように説明してほしいと鬼太郎が言ったように、鬼太郎はアニエスのすべてを「理解した」わけではないし、アニエスと協力する段になってもアニエスが具体的に何をどうして何をしようとしていたのかはわからないままだ。それでも同じ目的のためにアニエスと手を携えることができたのは、鬼太郎としては3話で目玉親父が言ったように相手を「理解しようとする」気持ちを持ち続けることというのを実践しているためでもあろうし、鬼太郎にそう思わせるきっかけを作ったまなが今回もキーパーソンになっているという構成には改めて舌を巻く。本当にこの6期のスタッフは細部まで計算した上で描写しているんだねえ。
その割を食ったというわけではないが、鬼太郎と西洋妖怪との戦いという点において物足りなくなってしまったというのは否めない。今話もほとんど戦っていたのはねこ娘だし。今話に関してはアルカナの指輪も登場しなかったので敵側との直接的なやり取りは小休止というところだろうか。
また上記の感想ではあえて書かなかったけども、ねこ娘やまな、アニエスといった6期鬼太郎が誇る美少女キャラがほぼ出ずっぱりで活躍していたのは実に眼福であり、日本の女の子は可愛いというカミーラの言にも非常に納得できるというものである(笑)。
後はねこ娘たちが見ようとしている映画の宣伝文句が往年の東宝東和配給ホラー映画のキャッチコピーみたいだったのも、僕のようなオッさんオタには非常に受けが良かったです。
そんなことを考えていたら次回の話は原作の「小豆連合軍」が元になるようで、今話に続いて西洋妖怪との戦いはお休み状態になるらしい。まあ1クール13話分をずっとバトルバトルでやりくりするのも難しいし、これはこれでいいのだろう。次の話がどんな内容になるかにもよるけども。