2018年10月08日

ゲゲゲの鬼太郎(第6期)27話「襲来!バックベアード軍団」感想

 とある西洋の古城。そこに眠る1つの小さな指輪を1人の魔女が盗み出す。魔女と因縁があると思しきもう1人の魔女は指輪を取り戻そうと魔女を攻撃するが、その攻撃を防ぎ指輪の魔女を逃がしたのは「名無し」だった……。

 ゲゲゲの鬼太郎という作品に慣れ親しんだ人ならば、数あるエピソードの中でも「妖怪大戦争」をよく覚えているのではないだろうか。日本侵略に訪れたバックベアード率いる西洋妖怪の軍団と、原作では初めて結成された子泣きじじい、砂かけばばあ、一反木綿、ぬりかべの鬼太郎ファミリーとの決戦、多くの犠牲を払いながらも初披露となる鬼太郎の髪の毛針や先祖の魂が眠るちゃんちゃんこの力が発揮されることでようやく勝利を得たという、文字通りの「大戦争」である。
 この屈指の人気エピソード、当然歴代アニメ作品でも1期の前後編や3期の劇場版とかなり力を入れてアニメ化されており、原作そのままでなくとも西洋妖怪のリーダーであるバックベアードとその部下のドラキュラ、狼男、フランケン、魔女といった重要な要素は4期の妖怪王編や劇場版、5期の一連の西洋妖怪編に反映されており、いずれも重要なエピソードに位置付けられている。それだけ「西洋妖怪の軍団」というのは鬼太郎世界において重要なファクターであるのだ。
 そしてこの6期においてもついに西洋妖怪軍団が登場する。西洋妖怪が日本に攻めてくるという導入部は変わらないものの、魔女アニエスという鬼太郎側につく新キャラクターの登場、重要なキーアイテムであるアルカナの指輪の存在など多数の新機軸も導入され、さて今期の「妖怪大戦争」はどのように始まるのか…?

 日本側の導入は穏やかではあるがゲゲゲの森の中で話が進行するという、今までと比べると少々異質な舞台設定になっているが、これはこの西洋妖怪編でスタッフが目指しているのが「鬼太郎中心の物語」であるという点が意識されているのだろう。
 そこで鬼太郎が紹介するのは南方から故郷を追われてやってきたという妖怪たち。劇中では耳長しか名前が出ないが、他の妖怪たちもひときわ顔のでかいのはエギク、竹を食べてしまうのは竹鼠の精、川に小便を垂れ流していたのはビディという名前がちゃんとあり、いずれも水木しげる先生による妖怪画が存在している。どれも耳長同様マレーシアの妖怪というのもなかなかの拘りだ。
 彼らは故郷を追われて逃げてきたということでゲゲゲの森に住むことにはなったものの、追われた理由については怯えてしまって話そうとしない。さらには彼らの生活習慣があまりにも日本妖怪のそれとは違いすぎて、鬼太郎たちも最初は受け入れたものの次第に軋轢が生まれてしまう。
 鬼太郎も何とか説得しようとするものの逆に言い負かされてしまい、結局別々の場所に住むことを余儀なくされる。この辺の現実社会を反映したかのような展開はいかにも今期鬼太郎らしいところだが、このへんはコメディタッチで描かれているのでそれほど風刺色は強くなく、どちらかと言えば現実を揶揄したギャグシーンと捉えるべきだろう。
 ここの描写がギャグ的であるからこそ、宝石に擬態していたアニエス、そしてアニエスを追って現れた西洋妖怪の1人・ヴォルフガングが現れてからの急展開が俄然冴えてくる。ヴォルフガングたち西洋妖怪は耳長たちマレーシア妖怪を襲った張本人でもあり、意を決して立ち向かった耳長たちも次々とヴォルフガングの餌食になってしまう。そう言えば現実世界でもマレーシアは昔、西洋(イギリス)の植民地だったっけ。
 目の前で耳長たちを殺され怒る鬼太郎は指鉄砲の力で結界を粉砕、ヴォルフガングと対峙するが、ヴォルフガングも狼男の本性を現して鬼太郎たちに襲いかかる。その力は圧倒的でねこ娘たち仲間妖怪の力は全く及ばず、鬼太郎が初めて見せる指鉄砲の連射にもその再生能力を生かしてビクともしない。かつてない窮地に陥った鬼太郎はしかしアニエスから託された狼男の弱点・銀の銃弾を使って辛くもヴォルフガングを退けるのだった。
 耳長たちのために作った墓を前に、もっと言葉を尽くしていればと悔やむ鬼太郎。3話でも見せた「異なる考えの持ち主を問答無用で排除する」ことを何より嫌う鬼太郎だからこそ、この言葉は重く鬼太郎自身にのしかかる。この時点で鬼太郎が西洋妖怪たちに対して、「耳長たちを殺した相手」以上の感覚を覚えているのかは定かでないが、アニエスから自分を守るよう言われ即決で引き受けたあたり、鬼太郎の胸中にもある種の覚悟が生まれていたのかもしれない。
 そしてそれは西洋妖怪側も同じだった。アニエスの姉であるアデルはリーダーであるバックベアードの命に従い、ヴォルフガングのみならず人造人間のヴィクター・フランケンシュタイン、吸血鬼のカミーラを始めとする全軍で日本に攻め入ることを決断、ベアードは日本妖怪との「妖怪大戦争」を開始することを高らかに宣言する。
 そんな危機迫る状況の中で1人、計画通りとばかりに佇む名無し。日本妖怪と西洋妖怪の戦いの中で彼は何を企むのか。

 今話は導入編ということで西洋妖怪側の謎と強大さを短時間で見せつけることに終始していた。擬態魔法とか転移魔法とかあまり鬼太郎では聞く機会のない用語も出てくるあたりにも、これまでの話とは違うという雰囲気が感じられて面白い。まだ鬼太郎が西洋妖怪側の事情を詳しく知らず状況に流されている感が強いのは否めないが、まだこの物語が始まったばかりであることを考えると、鬼太郎がこの戦争の中でどう能動的に動くようになって行くかも一つのキーポイントになっているのかもしれない。
 いずれにしても鬼太郎が望むと望まざるとにかかわらず西洋妖怪との戦争は始まってしまう。次回はズバリ「妖怪大戦争」。鬼太郎たちが穏やかに暮らしてきたゲゲゲの森が戦場になる中、鬼太郎は西洋妖怪に対しどのように戦いを挑むのであろうか。


posted by 銀河満月 at 16:20| Comment(0) | ゲゲゲの鬼太郎(第6期)感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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