2018年04月14日

ゲゲゲの鬼太郎(第6期)2話「戦慄!見上げ入道」感想

 今月から始まった第6期ゲゲゲの鬼太郎、ネット上で感想を見て回った限りでは概ね好意的に受け入れられているようだ。
 元々興味のない人は端からアニメを見ないからそれは置いておくとして、恐らくは過去に何期目かの鬼太郎を見たことがあるであろう人たちが今6期鬼太郎を見て好評価を示してくれているのは、勿論1話の全体的な完成度が高かったからなのは言うまでもないが、同時に鬼太郎という作品が原作漫画からして非常に自由度の高い作風であり、それ故に「こんな鬼太郎もあっていいのだ」とごく自然に受け入れられる、そういう土壌が既に確立しているからではなのだろう。
 原作つきアニメはとかく原作に縛られがちだしそれも当然のことではあるのだが、表現技法が異なるアニメという媒体で縛りすぎると今度はアニメならではの面白さが失われ、最悪アニメにした意味すら失われる羽目にも成りかねない現実を考えると、「ゲゲゲの鬼太郎」とは極めて幸福な作品と言えるのかもしれない。
 とは言え歴代作に存在していたお約束を守ってほしいと願うのもまたファンの性。とりわけ前回の1話においてオリジナルのレギュラーキャラである犬山まなと鬼太郎の関係に焦点を絞ったため、鬼太郎と親父以外の妖怪キャラが登場しなかったというのは、3期以降1話から必ず登場していた歴代作を思うと一抹の寂しさを覚えてしまうファンもいたのではないだろうか。
 いつもの面々が揃って登場するのを楽しみにしている人もいれば、いきなり等身が上がった美少女妖怪を期待していた人もいるだろう。筆者などは鬼太郎とずっと腐れ縁で繋がってきた日本一不潔な半妖怪の登場を待っていた口だが、それら鬼太郎の仲間妖怪もちょっと出遅れたものの今回の2話で集合することに。さて園出番とは…。

 と書いてはみたものの、仲間妖怪の中で実際に活躍らしい活躍をしたのはねずみ男とねこ娘の2人だけであり、残りの子泣きじじい、砂かけばばあ、一反もめんにぬりかべの出番は顔見せ程度に留まった。上記したとおり原作や歴代アニメ作を知っている身としては少し寂しい気がしないでもないが、今作は人間であるまなが鬼太郎たち妖怪の存在や世界をだんだん知っていくというのが本筋の1つとなるようなので、一気に仲間妖怪の能力や個性をポンポン見せていくのではなく、各話ごとに段階を踏んで見せていくという構成になっているのだろう。まなは鬼太郎の家はおろかゲゲゲの森にも立ち入ることはできないし、そもそも駆けつけた子泣きや砂かけたちの名前すらまだ知らないのだから。その意味では非常に丁寧な作りと言える。
 と言ってもただ出てきたというだけでなく彼らも今作ならではの個性を早くも見せ始めているのは嬉しいところだ。可愛い女の子好きという個性が与えられた今作の一反もめんは早速まなに言い寄るという、砂かけ曰く「色ボケふんどし」ぶりを発揮していたり、子泣きが早速飲兵衛の面を見せたりしているのは設定紹介の側面も無論あるが、いかにも水木ワールドの妖怪らしい人間臭さでもある。
 今話を振り返る上で重要になるキャラはやはりねずみ男とねこ娘だろう。ねずみ男は登場から3分もしないうちに「花より金」と花を踏み散らし、辺り構わず立ち小便をして挙句には見上げ入道の封印を解いてしまうだけでなく金に目が眩んで見上げ入道の手下になるという、ねずみが持つ代表的なパーソナリティがわずかな時間の中で小気味よく描写されていた。
 腐れ縁である鬼太郎との関係についても中盤のやり取りにおいてねずみ男には「鬼太郎ちゃん」、鬼太郎には「あいつ」と互いに呼ばせることで付き合いの古さを匂わせており、後述のねこ娘に比してどうしても登場時間が短くなってしまう中で、弁舌と金で芸能事務所を乗っ取ってしまうシーンも含めきっちりと「らしい」活躍を見せることができていたのではないだろうか。

 で、今作のねこ娘である。1話でチラッと(まなに妖怪ポストの場所を教えるシーンで)映ってはいた彼女も今話にて本格登場と相成ったわけだが、天敵であるねずみ男に対しての態度はともかくとして、前情報にあった通り今作では他の面子はおろか鬼太郎に対してもつんけんした態度を取る、歴代と比較してもかなり異色の性格設定が成されていた。
 鬼太郎を助けた人間がどんな人間なのか直接確かめに行ったり(相手が少女だから?)、見上げ入道にやられた鬼太郎の帰還を信じて自分が時間を稼ぐなど、鬼太郎に対する想いの強さが垣間見えるシーンはチラホラあるのだが、その気持ちを素直に鬼太郎に見せないのには何か理由があるのか、今後の話でそれが明かされるのか興味深いところであろう。ただ根っこの性格が「いい人」であるというのは、ねこ娘の活躍に憧憬の念を抱いたまなから「ねこ姉さん」と呼ばれて嬉しさを隠しきれず表情に思わず出してしまうところから容易に窺えるだろう。
 そのねこ娘、前述のとおり見上げ入道の攻撃で一旦戦線離脱した鬼太郎が復帰するまでの時間稼ぎとして、かなりの戦闘能力を発揮。歴代作のねこ娘もネコの特性を生かした敏捷さや爪での引っ掻き攻撃などを見せることはたびたびあったものの、今作のねこ娘は単純に格闘能力も高いようでまなをかばうまでは巨大な見上げ入道に対し優勢を保っており、3期や5期とはまた異なるバトルアクションの可能性が開けたと言ってもいいかもしれない。それまで気の強い美少女だったのが目を一度閉じて開いた瞬間「猫」の目になるというスイッチも単純にカッコいい。
 さらに言えばこのねこ娘のアクションシーンにかかっていたBGMはかつての名曲「カランコロンの歌」のメタルアレンジであり、こんなところでも1話同様に歴代作と最新作との折衷が見られた。

 そして今回の鬼太郎。前話の引きは「ちゃんちゃんこのおかげで無事だった」という、まあそんなとこだよね的な理由で決着がついたわけだが、同時に鬼太郎の能力の中でもかなり特殊な位置にある霊毛ちゃんちゃんこについての解説をその流れで済ませてしまうところは巧みと言うべきだろう。
 まなへの態度は前話と同様にまだまだ固いところはあるが、次回予告では5万人の人間が消えたことに対してさして動じてはいないようなセリフを吐いていたにもかかわらず、本編の中では誰かに手紙をもらうといったこともなく事件が発生したら能動的に動いて現場に向かっており、人間が大量に消えたという事件の重大性はきちんと理解している節が窺え、彼自身の多面的な部分も見え始めてきたようだ。
 そして今回は敵役が見上げ入道と言うことで霊界(原作では「死霊の国」)からの帰還から見上げ入道に吸い込まれた所をちゃんちゃんこを使って逆転という、原作で描かれたシチュエーションをほぼそのまま再現していた。霊界から戻れた理由が幽霊族だからと言うのはちゃんちゃんこの特異性が少々失われてしまったようで個人的には残念であるが、まだ2話の時点でちゃんちゃんこの万能ぶりを見せるのは時期尚早と判断した故であろうか。
 その一方、ちゃんちゃんこを使って物理的に見上げ入道の喉を破って飛び出してくる強烈なビジュアルは、力みすぎて目玉が飛び出してしまった原作とは似て非なる妖怪同士の異常な戦いの描写として十分すぎるほどのイメージだと思う。
 他方では4期版での止めとなった「見上げ入道見越した(り)」の言葉を人間が言わないと効果のないものとしてまなに言わせるところは少しご都合主義ではあるものの、鬼太郎言うところの「必ず誰かが気にかけている」人間の意義をまなに体現させるという点では及第点の展開と言えるだろう。
 1話と同様に登場人物の個性を追うことを最重視しているためか物語自体はあまり捻らずシンプルな構成になっており、見上げ入道も前話ののびあがりと違い会話が可能な存在ではあったものの、そこまで強烈な個性を発揮するには至っていない。しかし自分が「消した」人間の数と人間社会の中で「消えた」人間の数を比較した上で問題はないと嘯くふてぶてしさは出色の出来であり、同時にその数の1つ1つに想いを傾けることが出来る鬼太郎との良い対比になっていた。
 見上げ入道の担当声優は池水通洋氏。鬼太郎作品には3期や5期に出演経験がある文字通りの大御所声優であり、70年代は様々な特撮作品でヒーローや怪人の声を大量に演じてきた方であるが、近年はさすがに御歳もあるのかアニメで声を聞く機会が少なくなってしまったのがおっさんオタとしては寂しいところである。これに限らず鬼太郎と言う作品は基本1話完結なのでゲストキャラを出しやすいのだから、若手・ベテランを問わず様々な声優を呼んで共演させてほしいものである。
 他にも電池組なるアイドルをわざわざ登場させたりと細かいところで拘りを見せる部分はあったので、次の3話からはそれらの小ネタをどんどん生かすようになっていくのだろう。筆者的には販売開始すぐにチケットが売り切れるという一幕に乾いた笑いが出てしまったが(笑)。

 事件が解決したと思いきや、1話ラストで鬼太郎に矢を射かけたのと同じ人物(妖怪?)が別の場所で何やら暗躍をしている様子。そこには親父が触れたのと同じ逆五芒星が描かれていたが、この人物とその背後にあるものが今期の物語上の縦糸軸となるのだろうか。
 そして次回登場するのは3期版の記念すべき1話を飾り、4期版では前後編で鬼太郎ファミリーを窮地に追い込んだ強敵妖怪のたんたん坊。奴が出るということは配下のあれやこれも出るのか、はたまた彼らの住処であるあの城は出るのか。こちらも今から楽しみである。
posted by 銀河満月 at 10:05| Comment(0) | ゲゲゲの鬼太郎(第6期)感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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