第2期開始から47年
第3期開始から30年
第4期開始から22年
第5期開始から11年
そして2018年4月1日、カラスの鳴き声に導かれ、下駄の音を響かせて六たび「彼」がやってきた……。
すーっごく久々にブログを更新してみるわけだが、理由は言うまでもなく今日から放送が開始した「第6期ゲゲゲの鬼太郎」の感想を書くためである。
原作者である水木しげる先生が亡くなられてから初めてのアニメ、同じく5期終了後亡くなられた田の中勇氏が1期から5期までずっと演じられてきた目玉親父を、1期2期で鬼太郎を演じた初代鬼太郎役の野沢雅子氏が演じるとか、ネコ娘のキャラデザがかなり大人びたものになっているとか、4期以来の人間レギュラーが設定されるといった様々な新機軸が情報として流れてきた中で、ついにアニメ本編が始まるわけである。
5期終了後からも世の中は様変わりし、特に「妖怪」という存在についての世間の見方がだいぶ変容してきた中で、原作は既に古典漫画の域に入っていると言っていい「ゲゲゲの鬼太郎」を現代のアニメとしてどう魅せるのか。予告編を見る限りだと怪奇性が強調されていたが、さて本編の方はどうだったのだろうか。
始まり方としては「怪奇な事件が起きる」→「鬼太郎に連絡する」→「鬼太郎が来る」という4期以降オーソドックスとなった流れに準拠した展開だった。当たり前だが鬼太郎どころか妖怪の存在自体が信じられていないのだから、その信じられていない存在を信じるまでの過程を1話では見せないといけないわけで、そういう意味では鉄板の流れと言える。
今話ではさらに犬山まなという人間側のレギュラーキャラクターが妖怪を信じるようになっていく流れを段階的に見せることで、「信じていないものを信じる」過程を強調し、翻って作品を見ている視聴者の没入度を高める意図もあったように思われる。
これは前述のとおり今と言う時代に「ゲゲゲの鬼太郎」といういささか古臭い作品を現代の視聴者、特に主たるターゲットと言うべき子供たちが違和感なく作品世界を理解し入り込めるようにするための方策なのだろう。逆を言えばそこまで気を遣った上で1話を作らなければならないほど、鬼太郎の作品作りも難しく面倒になってきているということでもあるのだが。
その強調の意図は所謂鬼太郎ファミリーが一切登場していないところからも察せられる。他の面子はともかく鬼太郎作品に最も欠かせない存在と言うべきねずみ男までもが影も形も登場していないというのは、鬼太郎や目玉親父のみの描写に注力するためとは言え実際のところかなりの冒険だったのではないだろうか。
そしてその演出意図は奏功していたと言えるだろう。異質な存在である鬼太郎と目玉親父は言うまでもないが、その2人と出会う6期オリジナルのレギュラーキャラである犬山まなの描写に集中することで、怪奇現象の発生や妖怪の出現、妖怪との戦いと言った種々のシチュエーションの中で3人それぞれの個性(プラス鬼太郎の能力)のみならず、次第に打ち解けあっていく3人の繋がりもしっかり描出されていた。
まなは鬼太郎とのかかわり方から見るに3期レギュラーだった人間キャラだったユメコに近い役どころのようだが、これから鬼太郎だけでなく仲間妖怪とどのように触れ合っていくのか、どんな形で毎回の事件にかかわるようになるのかが楽しみ、と思わせてくれるくらいには魅力的に描かれていたと言える。
肝心の鬼太郎の関連の方は、妖怪ポストに手紙を書いてから初めて登場する、という4期初回っぽい始まりではあったのだが番組の編成上、本編開始前の番宣スポットで鬼太郎が登場してしまうので、リアルタイム視聴だとあまり謎めいた感じに見えなくなってしまうあたりは、物語の冒頭に毎度視聴者側に話しかけてきた5期を連想させる。
これに限らず今作は過去作を連想させる要素が随所に見られる。アレンジされているとはいえOP曲がお馴染み「ゲゲゲの鬼太郎」であるところには安心させられるが、その冒頭に鬼太郎と目玉親父の「誕生」シーンがそれぞれ挿入されていたり、鬼太郎が人間に味方する理由をかつて水木と言う人間に育てられたからと親父が述懐するのは初期原作、と言うよりアニメ版の「墓場鬼太郎」、所謂ゲゲゲハウスの外観やOPで1コーラス目と3コーラス目が切り替わる瞬間にキジムナーが飛び出てたり、何より鬼太郎の得意技である髪の毛針やリモコン下駄、妖怪アンテナなどの効果音は3期、OPの「試験も何にもない」「病気も何にもない」のところにねずみ男が登場するのは4期、そしてOPラストの処理は何となくオリジンたる1期2期の主題歌を彷彿させる。
ユーチューバーが「チャラい奴の代表格」として最初にひどい目にあうのは、ディスコとかで騒ぎまくってる若者をひどい目に合わせることがよくあった3期っぽくもあるが、まあこれはその時代ごとの「チャラい奴」の代表的なイメージと言うところなんだろう。こういう点から歴代作を見返してみるのも面白いかもしれない。
鬼太郎のキャラクターは登場シーンや人間に興味のない素振りをしているところに5期鬼太郎っぽさを見出せるが、それ以外のパーソナリティはまだ1話なのでわからないと言えばわからない。しかし吸血木にされても特に何もすることなく原作どおりに実から復活する不死身性や前述のとおりいつもの得意技を連発で見せたりと、見せ方そのものは1話としては十分だろう。
特に放送前に声優陣が何度か触れていた「(今作オリジナル設定の)指鉄砲を撃った後の鬼太郎」は素直にカッコいいと呼べるカットになっており、わけのわからない存在であると同時に妖怪退治のヒーローでもある鬼太郎の多面性をきちんと見せられていたのではないだろうか。
のびあがりを退治した後まなに抱きつかれた時は頬を赤らめても不思議ではないのだが、1話でそこまでしてしまうのはさすがに少し違うか。
テレビアニメ版では初めて田の中氏以外の人が声をあてることとなった目玉親父だが、そこは大ベテランの野沢氏、1話の時点で完全に歴代を踏襲しつつ自分独自の目玉親父として確立させているのはさすがと言う他なかった。
直近の5期ではココンがいたために解説者ぶりが若干成りを潜めてしまった感があったが、今回は吸血木の解説から見たばかりのスマホをすぐに使いこなすといった存在感を発揮しており、こちらにも十分期待が持てる。
一方敵妖怪であるのびあがりは昔封印されていたが蘇った、吸血木の種を植え付けるといった最低限の設定のみが使われ、強烈な個性を発揮するには至っていなかったが、1話の敵役としてはこんなものだろう。
1話としては上々のスタートを切ったと言っていい6期鬼太郎。…と思いきや鬼太郎が何者かの矢を受けてしまうという急展開の中次回へ続くことになる。
と言いつつ次回はそれとは直接関係なさそうな見上げ入道の話になるようなので、この繋ぎも込みでどのような展開になるのか、本格登場する鬼太郎ファミリーの活躍も含めて大いに期待したい。
5期の感想をいつも楽しみに読んでいました!もしかしたら6期の感想が更新されているかな?と思って来てみたら…うれしいです。また楽しく読ませていただきます(*^^*)
あれから10年以上が経ったいま6期がはじまり、あの頃よく読ませていただいていたな…と再びアクセスしてみたところ、更新されていて嬉しい驚きでいっぱいです。
6期、1話はなかなかに面白かったですね。素直に今後の展開に期待しています。
ただ、個人的には、6期が盛り上がれば盛り上がるほど、打ち切りという形で完結しないまま終わってしまった5期への寂しさが大きくなってしまい…。(5期だけが特別好きというわけでもないのですが)
こちらのブログでの5期の感想などを読み返していると、毎週朝と夜に鬼太郎を見ることができたあの頃の楽しい記憶がよみがえってきます。
いつか5期の続きが見られる日が来ることを願っています。
今後も更新を楽しみにしています。
現在はツイッターをメインで利用しているのですが鬼太郎アニメとなればやはりブログでがっつり感想を書くべきだろうと思って久しぶりに再始動してみましたが、5期の時に読んでいた方がまたいらしてくださり本当にうれしく励みになります。同時に5期終了からの時間の流れを感じてしまいますが(笑)。
5期が中途半端で終わってしまったことは私も未だに残念に思っていますが、田の中氏始め5期終了後鬼籍に入られた方も多く、これはこれでこのまま終わっていた方が良いのかなとも思っています。
6期感想は不定期になるかと思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。