昨日24日、待ちに待った「藤子・F・不二雄大全集」の第1回配本分が発売されたのだ。
僕は結局小学館オンラインで全巻一括予約をしたので、本屋に行くことなく、毎月家に配達されることになる。
まず手にとって思ったことは、やはりでかい!通常の単行本とか文庫よりも大きいサイズだし、何よりページ数が多いこともあって、手に持つだけで充実感が味わえてしまう。
装丁も落ち着いた感じでまとめられており、いかにも「全集」といった雰囲気を見せている。
表紙に書かれているタイトルくらいは、各作品ごとのタイトルロゴを使用して欲しかったところだけど、実際に表紙部を見てみると、前述の通り落ち着いた雰囲気で統一されているだけに、タイトルロゴを持ってきていたら、かえってちぐはぐな印象を与えることになっていたかもしれない。
今回の配本は「ドラえもん」「オバケのQ太郎」「パーマン」の1巻。
特にドラは収録作品の都合上、かなりページ数が多くなっており、恐らく全集の中でもトップクラスの分厚さだろう。
正直に言えば少々読みづらい気がしないでもないが、肝心要の収録・掲載内容が、それを補って余りある素晴らしいものになっているだけに、その程度の不満は瑣末なものと言えるだろう。
今回配本の3冊は基本的にカラー原稿も二色印刷されて入るが、巻等にはカラー口絵の特集が組まれており、巻末の初出リストでその口絵がどの話のものかわかるようにもなっているので、特に不満は感じない。
その巻末には初出掲載リストの他に、「特別資料室」なるコーナーも用意されており、「ドラえもん」では小三版第1回「机から飛び出したドラえもん」と「愛妻ジャイ子!?」に、掲載当時収録されていた人物紹介や家系図が掲載されている。
本編の話ではすべて「しずか」の名称で統一されているが、連載開始当初は「しず子」という名前であったと言うことも、このあたりの資料から読み取ることが出来る、親切仕様になっている。
そして本編だが、巻等にある「作者の意図ではない要因で改変が行われていたと考えられる場合は、原則として可能な限り本来の姿にもどすように努めました。」の言葉どおり、以前から懸念されていたセリフ改変が、可能な限り初出版に戻っていた。
具体的には「パー」「ちょうちょ、ちょうちょ、ヒーラヒラ」「手足七本目が三つ」と言った部分だろう。
ただその一方で「古道具競争」内のママのセリフ『わたしくるっちゃったらしいの』が『わたしおかしくなっちゃったらしいの』のままだったり、「出さない手紙の返事をもらう方法」のセリフ『ママは怒りくるうぞ』が『怒りまくるぞ』となっている。
このあたりは先生が存命中にセリフを改変したと言う解釈をすればいいのだろうか。
「狂う」と言う言葉を意図的に排除したようにも思えるのだが、「ドラえもんだらけ」での『ついにくるった』という言葉はそのまま使われているようだし、ちょっと判断に迷うところだ。
他にもセリフ関連ではいろいろ話すべき部分があるのだけど、それを逐一ピックアップしていったらそれだけで終わってしまいそうなので、今回はこれまでにしておこう。
次に収録内容だが、読者の年代順に収録されると言うだけあって、当然だが最初期の話ばかりが収録されている。
ファンなら周知の事実だが、この時期の「ドラえもん」は、まだ作品の方向性が定まっていない時期だったので、良くも悪くもごった煮感漂う内容になっている。
前述の「古道具競争」や「オーケーマイク」を始めとする、ただキャラクターが騒ぎまくるだけの話もあれば、連載開始一年目にして、「白ゆりのような女の子」や「おばあちゃんのおもいで」と言った、今に至るまで名作・良作の評価を受けている作品が発表されている。
このような時期があったからこそ、後の安定期へと繋がっていくのはもちろんなのだが、こういう最初期ならではのカオスっぷりを一気に味わうことができると言うのも、なんだか面白いものだ。
と同時に、F先生自らが選定していたという「てんとう虫コミックス」収録順のバランスに、改めて驚かされる。
個人的には以前にここで書いた、小五73年3月号収録の連載再開予告がきちんと収録されていたのが嬉しかったかな。
このブログでもサイトの方でも既に何度も言っているが、「帰ってきたドラえもん」での、やる気なく呆けているのび太の姿が、ドラえもんが帰ってしまった後ののび太の姿として記憶に残っている読者にとっては、穏やかな笑顔を浮かべつつ、今はいない親友・ドラえもんに思いを馳せるのび太の姿に、新鮮な印象を受けるのではないだろうか。
ってあれ?ドラの話しただけでこんなに書いてしまったな。ドラ自体にももっと書きたいことがあるし、オバQやパーマンについても書きたいことはたくさんあるのだがなあ。
とりあえず今回はここまでにしておくとしようか。さて、もう一度読み直そうっと。