2008年06月30日

ゲゲゲの鬼太郎(5期)64話「もうりょうの夜」感想

 さて今回の鬼太郎は「もうりょうの夜」。と言っても実際にもうりょうという妖怪が出てくる話ではなく、今話の元になっているのは、鬼太郎以外の水木作品「死人つき」である。
 よってここでいう「もうりょう」とは、マガジン版に登場した「もうりょう」という名前を持つ一匹の妖怪ではなく、文字通りの魑魅魍魎と考えた方がいいだろう。
 (ちなみにこの「死人つき」という話は、旧ソ連の文豪・ゴーゴリの小説「妖女(ヴィイ)」が元ネタになっている。)
 歴代アニメでは2期で唯一アニメ化されている話だが、5期はこの話をどのように料理したのか…?

 舞台設定は小さな村の小さな病院になっていたものの、「死人つき」の展開そのものは、それほど大きく変化していなかった。
 死体に妖怪が取り付く、八角円の中にいれば妖怪たちにも見つからない、妖怪は一番鶏の鳴き声を聞くといなくなる、朝日を浴びると消滅するなどなど、原作での重要なファクターはほぼ過不足なく盛り込まれており、少なくとも2期版を見たことのある方ならば、思わずニヤリとしてしまったのではないだろうか?
 舞台となった鹿羽村では、50年前にも同様の事件が起きており、その際にも鬼太郎に頼んで事件を解決してもらったとのことで、そのへんは今期ならではの設定ではあるが、それ故に冒頭、死体が暴れるにもかかわらず、病院側がきちんとその備えをしていたと言う展開にも納得がいく。

 今回は前話での予告やアバンナレーションにもあったとおり、「怖い」部分をかなり強調した話になっていたが、確かに序盤の死体徘徊シーンは怖かったものの、妖怪たちが大挙現れるあたりは、単純な怖さよりも、むしろ水木作品ならではの「怖いけどもどことなくユーモラス」という部分が良く出ていたのではないだろうか。
 単純なホラー的怖さは、正直それほど感じられなかったけども、水木作品的な雰囲気は十分に出せていたのではないかと思う。
 ただ個人的には、八角円の力を見通す土精の目が2つあったのは、ちょっと残念だったかな。あそこはああいうユーモラスな外見の下から、一つ目という異形が現れるというインパクトが重要だったと思うので。

 今話で面白かったのは、ゲストである病院の若先生こと泰造のキャラクター像。
 死人つきを迷信と断じて信じず、鬼太郎の介入さえも邪魔しようとする姿は、ちょっと見ると類型的な「頭の固い人間」になりそうだけども、実際は故郷の小さな村と、父が院長を勤める病院を何とか大きく、近代的なものにしたいという、彼なりの理想を叶えるためのものだった。彼は決して悪人ではないが、逆に真面目すぎるために自分の理想しか見据えることの出来ない、そういう意味では不器用な人間だったとも言える。
 しかしそんな彼に対し、鬼太郎は必要以上に介入しようとしない。ラストでの目玉親父の言葉が本当だとするなら、鬼太郎は彼のそんな態度の裏に、故郷に対するコンプレックスがあるということを見抜いていたのかもしれない。
 わざわざ妖怪たちを倒すための入念な準備をしておいたにもかかわらず、「賭け」と称して無茶なことを泰造にやらせてしまうあたりは、コンプレックスを解消させるための、鬼太郎なりの思いやりだったのかもしれない。

 その鬼太郎も今回は特にアクションを見せることなく、時計とカラスを用いたトリック、そして一番鶏の声を封じるという手段を使うことで妖怪たちを欺き、妖怪たちは既に昇っていた朝日の光を浴びて、すべて消滅する。
 この辺の周到さと、妖怪たちに囲まれながらも一歩も引くことなく、逆に不敵な笑みを浮かべる鬼太郎の姿は、今期でなければ出せない味だろう。

 また今話では、泰造の持っていた細胞のデータを調べる機械やら、何故か仏門に入っているねずみ男など、本筋と全く関係ない、と言うか入れる必要があるとも思えない部分での小ネタが目立っていた。
 マクガフィン的なものですらない、まさに雰囲気を盛り上げるためだけの舞台装置的なネタではあったものの、その効果は確かに本編中にも生かされていたし、こういうものをいくつも盛り込んでくるあたりに、スタッフ陣の余裕のようなものを感じられなくもない。
 いい傾向だと思う。

 次回は「うぶめ」。歴代アニメ作でも必ずアニメ化されており、特に3期に至っては最高視聴率を叩き出した話でもある。
 個人的には鬼太郎が亡き母への想いを少しだけ吐露していた3期版が特に好きなのだが、今期はどんな話になるのだろうか。
posted by 銀河満月 at 00:33| Comment(1) | TrackBack(0) | ゲゲゲの鬼太郎(第5期)感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント

迷惑じゃなかったら、リンク張らせて頂いてもよろしいですか?





























































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































\
Posted by ルカ at 2008年07月01日 23:35
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:


この記事へのトラックバック
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。